ラベル 韓国 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 韓国 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2021年1月29日金曜日

韓国のイボイボナメクジ類(ゴマシオナメクジ類) 29Jan2021

韓国で初めてイボイボナメクジ類(ゴマシオナメクジ類)が記録されたよ、という報告文がBiodiversity Journalにて出版されました。

Note on occurrence of the land slug family Rathouisiidae Heude, 1885 from South Korea and its DNA barcode [link]


Atopos属は比較・記載が結構行われていますが、他のホソアシヒダナメクジ科はあまりよく研究されていません。今回報告した韓国産の個体も属レベルまでは決められませんでしたが、イボイボナメクジ属 Granulilimax とは近縁ではなく、ゴマシオナメクジ類と比較的近縁なようです。


密度が低いグループなので中々研究が進まないのが悲しい所です。韓国産の個体をTwitter上で紹介している人もいたし、少ないだけで朝鮮半島での分布域も実は広いのかも知れません。どれぐらい北まで分布しているのだろうか?


2020年11月6日金曜日

韓国のウスカワマイマイ類 6Nov2020

以前話を聞かせてもらっていたんだけれど、メデタク出版の運びとなったようだ。

Biogeography of land snail genus Acusta (Gastropoda: Camaenidae): diversification on East Asian islands https://doi.org/10.1016/j.ympev.2020.106999

台湾のグループが行った、ウスカワマイマイ類に着目した生物地理学的研究。


日本産のものでも判ったことがある。オキナワウスカワマイマイ Acusta despectaの亜種にされることが多いウスカワマイマイ Acusta sieboldtianaが、実はオキナワウスカワマイマイと最近縁であるわけではない、ってこと。オキナワウスカワは台湾から来た、一方ウスカワは(多分)半島から来たってカンジかな。あと、Acusta redfieldiという種も分布している、ということだが・・・・。


今は韓国産のものです。西日本産のも解析されていませんが、朝鮮半島産のも欠けているようです。

前回、韓国でカタツムリとして認知度が高いのはウスカワマイマイだとしましたが・・・・Acusta redfieldiなのかな・・・・?いづれ形態やDNAを精査したいところです。


2020年10月27日火曜日

韓国のカタツムリ事情 ペット編 27Oct2020

韓国のカタツムリ事情 ペット編です。

韓国でカタツムリと言って皆がイメージするのは、ウスカワマイマイです。公園とか河川敷とかでよく見かけるので最も身近な種類です。もっと大きい種類、例えば関東地方の普通種であるミスジマイマイぐらいのカタツムリを見かけるか確認すると、Yesと答える人はほとんどいませんでした。

じゃあ日本のようにミスジマイマイとか大き目の種類がいないのかというと、そういうわけではないんです。いるにはいるんです!が、比較にならないほど密度が低いので馴染みがない、ということのようです。植物とか昆虫の研究者と一緒にフィールドワークに行くことがありますが、ミスジマイマイ程のサイズのカタツムリでも、その大きさにたまげてくれるので面白いです(^^)

ウスカワマイマイと同じぐらい、いや、もっと広く認知されているのが、なんとアフリカマイマイです!韓国ではアフリカマイマイがペットとして人気があり、Amazon的な韓国独自のオンラインショップで購入が可能なのです!しかも売られているのは、軟体部がきれいな白色の個体がほとんどのようです。アルビノ系統を維持してるんですねー。




2019年10月3日の沖縄タイムスの記事
----以下引用
【名護】胴体の白いアフリカマイマイが9月25日、名護の民家の庭で見つかった。

 同日朝、民家に住む女性が、胴体が黒っぽい通常のアフリカマイマイに覆いかぶさるような胴体の白い個体を発見した。「『何これ?』と思って近づいた。白いアフリカマイマイを見るのは初めて」と興奮気味に語った。

 県病害虫防除技術センターの金城邦夫さんは「色素のなくなったアルビノ個体ではないか。突然変異だと思われる。そんなに不思議なことではないが、発見されるのは珍しい」と話した。
----引用終わり

韓国では発見されまくりです(^^)

2020年8月31日月曜日

韓国の淡水産二枚貝 31Aug2020

普段は巻貝で手一杯なので二枚貝には時間をほぼ使いません。が、知り合いから、韓国でUnionidae イシガイ類を採集してよ、と頼まれたのでちょっと散策してみました。



Anemina属 フネドブガイ属の1種だそうです。とんと判らないので二枚貝も勉強していきたいです。


最近、以下の論文により東アジア産Unionidaeの分類体系が大きく変更された?みたいです。

Lopes-Lima et al. (2020) Freshwater mussels (Bivalvia: Unionidae) from the rising sun (Far East Asia): phylogeny, systematics, and distribution 


この論文で韓国に分布することになっている種をピックアップしてみると以下になります。

Aculamprotula coreana 

Anemina arcaeformis フネドブガイ

Buldowskia flavotincta 

Buldowskia iwakawai カタドブガイ

Buldowskia shadini 

Cristaria plicata カラスガイ

Inversiunio verrucosus コウライシジラガイ

Koreosolenaia sitgyensis 

Lamprotula leaii ヒラガマノセガイ

Lamprotula seomjinensis ホソタテボシガイ

Lanceolaria acrorrhyncha

Nodularia breviconcha

Nodularia douglasiae イシガイ

Nodularia sp. 1

Sinanodonta lauta ヌマガイ

Sinanodonta schrenkii 


(3Nov2020追記:Choi et al. (2020)は、上記Nodularia sp. 1がNodularia douglasiaeとは独立した別種だとは言えない、と主張している。)


MUSSEL projectのウェブサイトから以下の種も韓国に分布することになっている。

Anemina euscaphys


和名は以下の論文で整理されている?ようなので、後で確認ってことで。

近藤⾼貴(2020)イシガイ科⾙類の新たな分類体系.ちりぼたん,50︓294-296.


以下の種も韓国に分布している?のかも?これも後で確認しよう。

Anemina parvula(Dipsas parvulus HeudeをAneminaに移動すべきだとの主張があるらしい。MUSSEL projectではDipsas parvulusはCristaria radiataのシノニム扱いにされている。)




2020年7月31日金曜日

韓国のベンガルヤマネコ 31Jul2020

日本にもヤマネコ類 イリオモテヤマネコとツシマヤマネコ はいるが、分布域は限られているし数も減っていておいそれと目にすることはできない。

一方韓国では、やはりすごく減ってしまっているが、調査をしているとたまーにベンガルヤマネコを見かける。
キターっと思って写真に収めようと試みるものの、そこまで優しくはない。


こんなんしか撮れない。

Mammals of Koreaという書籍や以下のウェブサイト
https://www.brh.co.jp/publication/journal/021/ex.html
によると済州島の個体群は絶滅してしまったらしい。でも去年済州島でも見かけた気がするんだけど、見間違いなのだろうか?


Mammals of Koreaの表紙
いい写真っす。

2020年6月29日月曜日

韓国・巨済島(コジェ島)のカタツムリ 29Jun2020

韓国の南東部にある 巨済島(コジェ島) という島に調査に行ってきました。
とても対馬に近いです。

第一目標は コゼオオベソマイマイ Aegista proxima です。この島が模式産地なので押さえておきたかった!


良いカンジの雨の中 石垣を這ってる所に遭遇。

悲しいことに第二・第三目標とは出会えなかったけど、別の予想外の種に会えたのでヨシとします。今年中にもう1回来てみようかなー、と思案中。


2020年5月31日日曜日

韓国・西部の島のカタツムリ 31May2020

韓国は西部、つまり黄海側にたくさん小さな島を持ってます(まあ、南部も同様に島だらけと言えます)。良い森が残っていることが多いので、なるべく調査したいところです。

コロナによる制限が解除されて研究費が使用可能になったみたいなので、ちょろっといくつかの島に行ってきました。狭い範囲でも多くの種類を見つけることができるので、やはり半島側より楽しめます。


 いくつか面白い出会いがありました。このベッコウマイマイ類もその一つ。



今回は植物を研究してる方と同行したので、花の写真も多く撮りました。



2020年4月30日木曜日

韓国初記録のカタツムリ 30Apr2020

韓国でNobuea属(ノブエガイ類)の未記載種が発見されました、という報告文がBiodiversity Journalにて出版されました。

First record of the little-known land gastropod genus Nobuea Kuroda et Miyanaga, 1943 (Gastropoda Diplommatinidae) from Jeju Island, South Korea [link]




ノブエガイ類はいづれの種も極めて低密度なのですが、今回記録された種も1個体のみしか見つけられませんでした。追加の標本を得て正式に記載すべきでしょうが、取りあえず、韓国・済州島(チェジュ)の未記載ノブエガイ類として認知して頂くということでよろしくお願いします。

既知の2種ノブエガイ・ニッポンノブエガイとは明確に異なる形態をしています。未記載種のゴトウノブエガイとは似てるのかも知れませんが、情報が少ないため何とも言えません。ゴトウノブエガイと別種なら、和名はサイシュウノブエガイにしましょう!

済州島での初記録は他にも見つかっているので、なるべく早く公表したいと思います。

2020年3月31日火曜日

韓国・鬱陵島(ウルルン島)の植物 31Mar2020

ウルルン島の動植物に関する先行研究 勉強してます。
今回は植物

(1)
Acer takesimense タケシマハウチワ(オキノハウチワ?) 島固有
    A. pseudosieboldianum チョウセンハウチワカエデ 中国・朝鮮
チョウセンハウチワの韓国集団に最近縁

Acer okamotoanum タケシマイタヤカエデ 島固有
    A. mono イタヤカエデ 中国・朝鮮・日本
イタヤカエデの韓国集団に最近縁?でも日本の集団は未解析。また、島には複数回侵入かも?

Pfosser et al. 2002

http://bsj.or.jp/jpn/JPR/summary/201305.php
から
----------
Takayama K, Sun B-Y, Stuessy TF (2013) Anagenetic speciation in Ullung Island, Korea: Genetic diversity and structure in the island endemic species, Acer takesimense (Sapindaceae). J Plant Res 126: 323-333

前進進化的に種分化した海洋島固有種の遺伝構造を明らかにするため、鬱陵島固有種オキノハウチワと大陸産種チョウセンハウチワカエデの集団遺伝学的解析を行なった。オキノハウチワでは集団分化は見られず、大陸産種と比較してわずかに低い遺伝的多様性を保持していることが明らかとなった。(p.323-333)
----------


(2)
Dystaenia takesimana タケシマシシウド 島固有?
    D. ibukiensis セリモドキ 日本
日本のセリモドキが最近縁(というか2種しかいない属らしい)
2012年頃タケシマシシウドが隠岐に分布していることが判明

Pfosser et al. 2005

http://okishizenmura.jugem.jp/?eid=335
から
----------
去年、分布が正式に確認され、海士町文化財にも指定されたタケシマシシウドが掲載されました。
今まで鬱陵島の固有種とされてきた植物で、日本には海士町にだけしか見つかっていません。
学界には知られていないため、絶滅危惧種の国指定にはまだなっていません。
----------


(3)
Viola woosanensis  島固有
    V. ulleungdoensis (V. selkirkii(ミヤマスミレ)として認識されていた) 島固有?
    V. chaerophylloides ナンザンスミレ 中国・朝鮮・日本(対馬)
交雑由来の種。

Gil & Kim 2016


(4)
Hepatica maxima オオスハマソウ 島固有
    H. asiatica マンセンスハマソウ 満州・朝鮮
他にも候補があるようにも思えるが、いずれにせよ大陸のHepaticaが最近縁となりそう。

Pfosser et al. 2011


(5)
Rubus takesimensis タケシマクマイチゴ 島固有
    R. crataegifolius クマイチゴ 中国・朝鮮・日本
韓国集団が由来。複数回侵入?

Lee et al. 2017



DNAデータを用いているのはこれぐらいかしら。思ったより少ないっすね。


((((追記1))))

(6)
Aster chusanensis Lim, Hyun & Shin 2005 Ullungdo固有
    A. pseudoglehnii Lim, Hyun & Shin, 2003 Ullungdo固有(最近までA. glehnii エゾゴマナとして扱われていたらしい。)
    A. oharai Nakai 韓国固有(A. spathulifolius Maxim ダルマギクのシノニムとされることも多い。)
交雑由来の種。

A. pseudoglehniiの最近縁種はA. ageratoides シロヨメナ(東アジアに広域分布)で、A. oharaiの最近縁種はA. spathulifolius(韓国と日本に分布、但しこれはA. oharaiと同種とする場合の分布域かも)であると考えられているようだ。論文中のデータでは、A. oharaiとA. spathulifoliusとは遺伝的に明確に分かれてる。

Shin et al. 2014 J of Plant Biology


(7)
Phedimus takesimensis タケシマキリンソウ Ullungdo・Dokdo (Takeshima)固有
    P. aizoon ホソバノキリンソウ・P. latiovalifolius・P. kamtschaticus エゾノキリンソウ・P. ellacombeanus ハコダテキリンソウ
核のデータでは他4種が姉妹クレード形成。朝鮮半島のP. aizoon・P. kamtschaticusと共に集団遺伝学的解析。鬱陵島内でぼちぼち地理的分化が進んでる感。

Seo et al. 2020 PLoS ONE


(8)
Campanula takesimana  島固有
    C. punctata ホタルブクロ ロシア・中国・朝鮮・日本
韓国のBonghwa-gun, Gyeongsangbuk-do ProvinceからDokdoへ渡って、ウルルン島へ至ったと主張。ホタルブクロは韓国産のみ解析。おもしろいハプロタイプネットワークが得られてるが、結論はそれでよいのかな?

Cheong et al. 2020 J of Plant Biol


(9)
Scrophularia takesimensis タケシマヒナノウスツボ Ullungdo固有
    S. alata エゾヒナノウスツボ
    S. grayanoides ハマヒナノウスツボ
上記2種とは近いと言えば近いが、最近縁の種はよく判らん。

ジャーナルのHPに掲載されていた要約
----------タケシマヒナノウスツボは鬱陵島の固有種で、従来はエゾヒナノウスツボおよびハマヒナノウスツボに系統的に近いとされてきた。今回、世界規模の同属種を用いて、新たに系統解析を行ったところ、タケシマヒナノウスツボは従来の見解とは異なり、北米・カリブ海に分布する種群と姉妹群になった。----------

論文のAbstractとFigを見る限り、HPに掲載されていた日本語要約は適切ではなさそう。
cpのは交雑なのか?

Gil et al. 2020 J of Plant Biol


2019年12月18日水曜日

韓国・鬱陵島(ウルルン島)のハサミムシ類(Dermaptera) 18Dec2019

冬なので野外にはほとんど行かず、実験や論文書き等に時間を使います。
論文書くためにウルルン島の先行研究調べたりしてると、別の視点に移っちゃうことも多いです。

今回はハサミムシに目を奪われてしまった。

ウルルン島(+近くの2つの小島)のハサミムシ類
・Forficulidae クギヌキハサミムシ科
Anechura japonica (Bormans) ヤマトコブハサミムシ 좀집게벌레
    ?
Anechura harmandi (Burr) コブハサミムシ 혹집게벌레``
    北海道,本州,四国,九州
Forficula scudderi Bormans クギヌキハサミムシ 못뽑이집게벌레``
    北海道,本州
Timomenus komarowi (Semenov, 1901) モモブトハサミムシ 고마로브집게벌레``
    対馬

・Labiduridae オオハサミムシ科
Labidura riparia japonica (de Haan) オオハサミムシ 큰집게벌레
    日本全域

・Anisolabididae ハサミムシ科
Gonolabis marginalis (Dohrn) ヒゲジロハサミムシ 끝마디통통집게벌레``
    本州,四国,九州,南西諸島
Anisolabis maritima (Bonelli) ハサミムシ(ハマベハサミムシ) 민집게벌레
    日本全域

``ウルルン島では記録が少ないポイ。

*クギヌキハサミムシの学名については、Forficula tomis とする考え方もあるポイ。
*Lim & Lee (2012); Lim et al. (2013); あの秘密図鑑(2014)




ふーん、ハサミムシって結構分散能力高いのかしら。


興味深いHP「オオハサミムシの飼育を始めよう


2019年11月11日月曜日

韓国・カゴ島(可居島・Gageodo Island)のカタツムリ 11Nov2019

今年、カゴ島という韓国の南西部にある小さな島で調査を行いました。恐らく非海産貝類の調査は初です。海産貝類のリストも見つからないので、行われてないのかもしれません。

一通り陸貝相は把握できたと思いますが、リスト化より先に、着目すべき種を切り分けて公表することにしました。

1つ目として、韓国で記録のなかったOtesiopsis レンズガイ属の発見報告がBiodiversity Data Journalに掲載されました。
https://bdj.pensoft.net/articles.php?id=46984&journal_name=bdj



保全の方も行政の担当者さんと話さないといけないですし、韓国南部の島とかにも分布しているか調査してみないといけません。

2019年10月29日火曜日

韓国のカニムシ 29Oct2019

カニムシはやーらかい生き物ではないかも知れません。

ですが、カッコよくて好きなので、それなりに力を入れて研究してみようと思っています。

まずは
「朝鮮半島におけるイソカニムシ Garypus japonicus の発見報告」
という短報を仕上げました。



日本のみならず、アジア大陸にも生息していることが判明しました。報告したのは仁川空港の近くなので厳密には島ですが、半島部分でも複数個所で発見しています。

中国の対岸エリアにもいるんでしょうね、きっと。

2019年10月19日土曜日

韓国の陸産プラナリア 19Oct2019

かたつむりを探していると、それなりの頻度でコウガイビルやその他のプラナリアと出会う。そして、こいつらは「やーらかい生き物」でけっこー好みなのです。


まだまだ分類学的に再検討が必要なグループですが、この個体は
Diversibipalium koreense という 韓国を名前に含む種類(or その近縁種)っぽい。

細かな形態観察はできないので、いずれ、DNA barcoding的データの蓄積などの貢献ができれば良いのですが。

2019年9月29日日曜日

韓国・巨文島(コムン島・Geomun Island)のカタツムリ 29Sep2019

コムン島は韓国の南側にある諸島で、東西と中央の3つの島で構成されています(橋でつながってますが)。麗水(ヨス)からフェリーで3.5時間ぐらいだったはず。

国立公園に含まれてるんですが、許可を得られたので、夏に調査をしてきました。



さすが国立公園、けっこー良い森が保存されていましたね。オオベソマイマイ類(Aegista)も比較的多くいました。

2019年9月16日月曜日

韓国の四大河川工事事業 16Sep2019

韓国の四大河川事業
漢江(ハンガン)・錦江(クムガン)・栄山江(ヨンサンガン)・洛東江(ナクトンガン)の河床を掘り下げ、川幅を拡げ、ダムを数kmごとに造る事業。

この事業は、李明博大統領と工事業者の癒着とか色々騒がれた事業だったようだ。関連の環境アセスに参加した知り合いは、工事が終了間近とか終了後にアセスするって意味不明、と呆れていた。

藤前干潟のかにくん日記でも取り上げられてる。「朝鮮半島最大の危機! 韓国の四大河川事業

結局滞りなく事業は終了したようだが、その後、水質悪化の問題が起きているとのことで、気になっていた。

そんな折(残念ながら参加はできなかったが)、
8/25に開催されたシンポ「 ラムサール条約の実施とNGOの役割~水の自然な流れを守るために~」の講演の1つに以下のものがあった。

韓国の自然再生事例…四大河川事業の堰開放
 キム・キョンチョル〈四大河川調査評価企画委員会委員(韓国環境部)〉

また、8/21にはヤフーニュースが朝鮮日報の記事を取り上げていた。
「韓国の4⼤河川の堰、⽔⾨開放で⽔質悪化」
----------引用開始

 韓国の4⼤河川にある堰(せき)の在り⽅を決めるため、韓国政府が過去2年間に
堰16カ所のうち13カ所で⽔⾨を開放し、⽔質などをモニタリングした結果、7カ所
の堰で⽔質が悪化したことが分かった。3カ所では⽔⾨開閉前後で主要指標の変化が
10%以内で⼤差なかった。4⼤河川の堰が川の流れを阻み、⽔質を悪化させている
という主張とは異なる結果が出たことになる。

 韓国環境部が20⽇、国会環境労働委員会の所属議員に提出した総合分析結果で判
明したもので、来⽉に予定される⼤統領直属の国家⽔管理委員会が堰の処理⽅針を
決定する際の基本資料となる。

 分析結果によると、世宗、公州、百済、昇村、⽵⼭、洛丹、⻲尾、梨浦の各堰で
は⽔⾨を開放した期間の⼀般⽔質指標が⽔⾨を閉鎖していた同じ季節の同じ期間よ
りも悪化した。⽣物化学的酸素要求量(BOD)、化学的酸素要求量(COD)、総リ
ン(TP)、総窒素(TN)、浮遊物質(SS)という5つの⽔質指標を⽐較した。

 環境部が堰の⽔⾨開放の肯定的効果として強調していた緑潮(グリーンタイド)
の解消も予想には満たなかった。6カ所の堰では藻類の濃度が低下したが、7カ所で
は以前と同じかむしろ増加した。

 報告書は結果について、「⼀部の堰は昨年7-8⽉の猛暑や深刻な⽔不⾜の影響で
緑潮が増加する傾向が⾒られた」と指摘した。暑さで緑潮が増加したとの説明だ。
しかし、堰の開放期間に藻類の濃度が162%増加した洛丹堰の場合、開放期間は今
年2-3⽉、220%増加した⻲尾堰の場合は今年1-2⽉だった。

----------引用終了
とのこと。

今後はどのように進められるのだろうか?現状維持の方向なのか?

2019年8月8日木曜日

韓国・鬱陵島(ウルルン島)のカタツムリ 8Aug2019

ウルルン島に分布するカタツムリと淡水の貝類をまとめた論文が出版されました。

An updated checklist of land and freshwater gastropod fauna on Ulleung Island, South Korea
https://bioone.org/journals/American-Malacological-Bulletin/volume-37/issue-1/006.037.0104/An-Updated-Checklist-of-Land-and-Freshwater-Gastropod-Fauna-on/10.4003/006.037.0104.short



2018年の調査で、6種が新たに記録されました(図はそのうちの1種)。少なくとも1種は在来種、2種は移入種だと考えられます。しかし、既に記録されていた30種のうちでは、8種しか生体は確認できませんでした(2019年の調査で更に数種確認できました)。

一人で調査できる範囲は限られているとはいえ、陸・淡水産貝類にとっての生息環境は悪化している感が強いです。なるだけ早く島内の現状把握をし、情報提供等で保全に繋げたい所です。

2019年8月1日木曜日

韓国・干潟の貝類 01Aug2019

韓国の西海岸、黄海側には広大な干潟がある。残念ながら、セマングム 새만금 Saemangeum みたいな干拓されてしまった場所も多いけど。

せっかくだし、干潟を少し探索してみた。


クリイロカワザンショウ類 Angustassiminea sp.
アズキカワザンショウかなって種類 Pseudomphala cf. miyazakii
ヒラドカワザンショウかなって種類 Assiminea cf. hiradoensis
少なくとも3種のカワザンショウ類が見つかった。

韓国の干潟の生物相に関する論文を探してみたが、あんまりない?のか見つからない。岩礁性の海岸に関するものはそれなりにあるんだけどな。

調べてる際
「藤前干潟のかにくん日記」にて、日韓こども湿地交流なるものを行っていることを知った。楽しそう。 
https://ameblo.jp/ume3535/entry-12482244113.html?frm=theme
でも、それに関するブログポストは2012年が最後みたいなので、今は行われていないのかな?

今後も干潟調査の機会を作っていければいいな。セマングムとかスンチョン 순천 Suncheon とかも見てみたい。

2019年7月29日月曜日

韓国のカタツムリ Euhadra・マイマイ属について 29Jul2019

韓国にも Euhadraのカタツムリは分布している。
種類は以下の2種、
E. herklotsi ツクシマイマイ
E. dixoni サンインマイマイ
現在の分布域は朝鮮半島の南端あたりのみで、KNUのある大邱にはいないみたい。

仙台に長ーく住んでいた身としては Euhadraの中でも特に ヒダリマキマイマイ が恋しいなー、なんて思ったりもする。

そんな中、ある広告に出会った。これは日本のJRにあたる会社、KoRAILの広告なんだけど、
👀マイマイじゃん💖
しかも、左巻き!
日本で見つけたなら、ムツヒダリマキマイマイ系かオオタキマイマイ系ってカンジだ。しかしここは韓国、左巻きEuhadraは分布していない。んー?Euhadraじゃないとしたらなにかしら。謎です。

2019年7月15日月曜日

韓国・鬱陵島(ウルルン島)のカタツムリ 15Jul2019

ウルルン島に調査に行ってきました。


ウツリョウトウマイマイ Karaftohelix adamsi
韓国・ウルルン島に固有のカタツムリです。残念ながら生息域は減少傾向で、今は山の上の方のみで見られます。

韓国Red Listでは、Critically Endangered speciesになっており、将来的には生息域外保全を進めるという話だそうです。
頑張って早くスタートさせられたら良いのですが、なかなか難しそうです。

2019年6月20日木曜日

韓国・済州島(チェジュ)のカタツムリ 20Jun2019

Discovery of Gastrocopta armigerella (Reinhardt, 1877) (Gastropoda: Gastrocoptidae) from Jeju Island, South Korea.


Gastrocopta armigerella スナガイ
韓国のJejuで初めて記録されました、という報文がMolluscan Diversityにアクセプトされました。

Jejuでの初記録は他にも見つかっているので、なるだけ早く公表したい。

韓国のイボイボナメクジ類(ゴマシオナメクジ類) 29Jan2021

韓国で初めてイボイボナメクジ類(ゴマシオナメクジ類)が記録されたよ、という報告文がBiodiversity Journalにて出版されました。 Note on occurrence of the land slug family Rathouisiidae Heude, 1885...