2020年3月31日火曜日

韓国・鬱陵島(ウルルン島)の植物 31Mar2020

ウルルン島の動植物に関する先行研究 勉強してます。
今回は植物

(1)
Acer takesimense タケシマハウチワ(オキノハウチワ?) 島固有
    A. pseudosieboldianum チョウセンハウチワカエデ 中国・朝鮮
チョウセンハウチワの韓国集団に最近縁

Acer okamotoanum タケシマイタヤカエデ 島固有
    A. mono イタヤカエデ 中国・朝鮮・日本
イタヤカエデの韓国集団に最近縁?でも日本の集団は未解析。また、島には複数回侵入かも?

Pfosser et al. 2002

http://bsj.or.jp/jpn/JPR/summary/201305.php
から
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Takayama K, Sun B-Y, Stuessy TF (2013) Anagenetic speciation in Ullung Island, Korea: Genetic diversity and structure in the island endemic species, Acer takesimense (Sapindaceae). J Plant Res 126: 323-333

前進進化的に種分化した海洋島固有種の遺伝構造を明らかにするため、鬱陵島固有種オキノハウチワと大陸産種チョウセンハウチワカエデの集団遺伝学的解析を行なった。オキノハウチワでは集団分化は見られず、大陸産種と比較してわずかに低い遺伝的多様性を保持していることが明らかとなった。(p.323-333)
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(2)
Dystaenia takesimana タケシマシシウド 島固有?
    D. ibukiensis セリモドキ 日本
日本のセリモドキが最近縁(というか2種しかいない属らしい)
2012年頃タケシマシシウドが隠岐に分布していることが判明

Pfosser et al. 2005

http://okishizenmura.jugem.jp/?eid=335
から
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去年、分布が正式に確認され、海士町文化財にも指定されたタケシマシシウドが掲載されました。
今まで鬱陵島の固有種とされてきた植物で、日本には海士町にだけしか見つかっていません。
学界には知られていないため、絶滅危惧種の国指定にはまだなっていません。
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(3)
Viola woosanensis  島固有
    V. ulleungdoensis (V. selkirkii(ミヤマスミレ)として認識されていた) 島固有?
    V. chaerophylloides ナンザンスミレ 中国・朝鮮・日本(対馬)
交雑由来の種。

Gil & Kim 2016


(4)
Hepatica maxima オオスハマソウ 島固有
    H. asiatica マンセンスハマソウ 満州・朝鮮
他にも候補があるようにも思えるが、いずれにせよ大陸のHepaticaが最近縁となりそう。

Pfosser et al. 2011


(5)
Rubus takesimensis タケシマクマイチゴ 島固有
    R. crataegifolius クマイチゴ 中国・朝鮮・日本
韓国集団が由来。複数回侵入?

Lee et al. 2017



DNAデータを用いているのはこれぐらいかしら。思ったより少ないっすね。


((((追記1))))

(6)
Aster chusanensis Lim, Hyun & Shin 2005 Ullungdo固有
    A. pseudoglehnii Lim, Hyun & Shin, 2003 Ullungdo固有(最近までA. glehnii エゾゴマナとして扱われていたらしい。)
    A. oharai Nakai 韓国固有(A. spathulifolius Maxim ダルマギクのシノニムとされることも多い。)
交雑由来の種。

A. pseudoglehniiの最近縁種はA. ageratoides シロヨメナ(東アジアに広域分布)で、A. oharaiの最近縁種はA. spathulifolius(韓国と日本に分布、但しこれはA. oharaiと同種とする場合の分布域かも)であると考えられているようだ。論文中のデータでは、A. oharaiとA. spathulifoliusとは遺伝的に明確に分かれてる。

Shin et al. 2014 J of Plant Biology


(7)
Phedimus takesimensis タケシマキリンソウ Ullungdo・Dokdo (Takeshima)固有
    P. aizoon ホソバノキリンソウ・P. latiovalifolius・P. kamtschaticus エゾノキリンソウ・P. ellacombeanus ハコダテキリンソウ
核のデータでは他4種が姉妹クレード形成。朝鮮半島のP. aizoon・P. kamtschaticusと共に集団遺伝学的解析。鬱陵島内でぼちぼち地理的分化が進んでる感。

Seo et al. 2020 PLoS ONE


(8)
Campanula takesimana  島固有
    C. punctata ホタルブクロ ロシア・中国・朝鮮・日本
韓国のBonghwa-gun, Gyeongsangbuk-do ProvinceからDokdoへ渡って、ウルルン島へ至ったと主張。ホタルブクロは韓国産のみ解析。おもしろいハプロタイプネットワークが得られてるが、結論はそれでよいのかな?

Cheong et al. 2020 J of Plant Biol


(9)
Scrophularia takesimensis タケシマヒナノウスツボ Ullungdo固有
    S. alata エゾヒナノウスツボ
    S. grayanoides ハマヒナノウスツボ
上記2種とは近いと言えば近いが、最近縁の種はよく判らん。

ジャーナルのHPに掲載されていた要約
----------タケシマヒナノウスツボは鬱陵島の固有種で、従来はエゾヒナノウスツボおよびハマヒナノウスツボに系統的に近いとされてきた。今回、世界規模の同属種を用いて、新たに系統解析を行ったところ、タケシマヒナノウスツボは従来の見解とは異なり、北米・カリブ海に分布する種群と姉妹群になった。----------

論文のAbstractとFigを見る限り、HPに掲載されていた日本語要約は適切ではなさそう。
cpのは交雑なのか?

Gil et al. 2020 J of Plant Biol


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