2021年1月29日金曜日

韓国のイボイボナメクジ類(ゴマシオナメクジ類) 29Jan2021

韓国で初めてイボイボナメクジ類(ゴマシオナメクジ類)が記録されたよ、という報告文がBiodiversity Journalにて出版されました。

Note on occurrence of the land slug family Rathouisiidae Heude, 1885 from South Korea and its DNA barcode [link]


Atopos属は比較・記載が結構行われていますが、他のホソアシヒダナメクジ科はあまりよく研究されていません。今回報告した韓国産の個体も属レベルまでは決められませんでしたが、イボイボナメクジ属 Granulilimax とは近縁ではなく、ゴマシオナメクジ類と比較的近縁なようです。


密度が低いグループなので中々研究が進まないのが悲しい所です。韓国産の個体をTwitter上で紹介している人もいたし、少ないだけで朝鮮半島での分布域も実は広いのかも知れません。どれぐらい北まで分布しているのだろうか?


2020年11月6日金曜日

韓国のウスカワマイマイ類 6Nov2020

以前話を聞かせてもらっていたんだけれど、メデタク出版の運びとなったようだ。

Biogeography of land snail genus Acusta (Gastropoda: Camaenidae): diversification on East Asian islands https://doi.org/10.1016/j.ympev.2020.106999

台湾のグループが行った、ウスカワマイマイ類に着目した生物地理学的研究。


日本産のものでも判ったことがある。オキナワウスカワマイマイ Acusta despectaの亜種にされることが多いウスカワマイマイ Acusta sieboldtianaが、実はオキナワウスカワマイマイと最近縁であるわけではない、ってこと。オキナワウスカワは台湾から来た、一方ウスカワは(多分)半島から来たってカンジかな。あと、Acusta redfieldiという種も分布している、ということだが・・・・。


今は韓国産のものです。西日本産のも解析されていませんが、朝鮮半島産のも欠けているようです。

前回、韓国でカタツムリとして認知度が高いのはウスカワマイマイだとしましたが・・・・Acusta redfieldiなのかな・・・・?いづれ形態やDNAを精査したいところです。


2020年10月27日火曜日

韓国のカタツムリ事情 ペット編 27Oct2020

韓国のカタツムリ事情 ペット編です。

韓国でカタツムリと言って皆がイメージするのは、ウスカワマイマイです。公園とか河川敷とかでよく見かけるので最も身近な種類です。もっと大きい種類、例えば関東地方の普通種であるミスジマイマイぐらいのカタツムリを見かけるか確認すると、Yesと答える人はほとんどいませんでした。

じゃあ日本のようにミスジマイマイとか大き目の種類がいないのかというと、そういうわけではないんです。いるにはいるんです!が、比較にならないほど密度が低いので馴染みがない、ということのようです。植物とか昆虫の研究者と一緒にフィールドワークに行くことがありますが、ミスジマイマイ程のサイズのカタツムリでも、その大きさにたまげてくれるので面白いです(^^)

ウスカワマイマイと同じぐらい、いや、もっと広く認知されているのが、なんとアフリカマイマイです!韓国ではアフリカマイマイがペットとして人気があり、Amazon的な韓国独自のオンラインショップで購入が可能なのです!しかも売られているのは、軟体部がきれいな白色の個体がほとんどのようです。アルビノ系統を維持してるんですねー。




2019年10月3日の沖縄タイムスの記事
----以下引用
【名護】胴体の白いアフリカマイマイが9月25日、名護の民家の庭で見つかった。

 同日朝、民家に住む女性が、胴体が黒っぽい通常のアフリカマイマイに覆いかぶさるような胴体の白い個体を発見した。「『何これ?』と思って近づいた。白いアフリカマイマイを見るのは初めて」と興奮気味に語った。

 県病害虫防除技術センターの金城邦夫さんは「色素のなくなったアルビノ個体ではないか。突然変異だと思われる。そんなに不思議なことではないが、発見されるのは珍しい」と話した。
----引用終わり

韓国では発見されまくりです(^^)

2020年8月31日月曜日

韓国の淡水産二枚貝 31Aug2020

普段は巻貝で手一杯なので二枚貝には時間をほぼ使いません。が、知り合いから、韓国でUnionidae イシガイ類を採集してよ、と頼まれたのでちょっと散策してみました。



Anemina属 フネドブガイ属の1種だそうです。とんと判らないので二枚貝も勉強していきたいです。


最近、以下の論文により東アジア産Unionidaeの分類体系が大きく変更された?みたいです。

Lopes-Lima et al. (2020) Freshwater mussels (Bivalvia: Unionidae) from the rising sun (Far East Asia): phylogeny, systematics, and distribution 


この論文で韓国に分布することになっている種をピックアップしてみると以下になります。

Aculamprotula coreana 

Anemina arcaeformis フネドブガイ

Buldowskia flavotincta 

Buldowskia iwakawai カタドブガイ

Buldowskia shadini 

Cristaria plicata カラスガイ

Inversiunio verrucosus コウライシジラガイ

Koreosolenaia sitgyensis 

Lamprotula leaii ヒラガマノセガイ

Lamprotula seomjinensis ホソタテボシガイ

Lanceolaria acrorrhyncha

Nodularia breviconcha

Nodularia douglasiae イシガイ

Nodularia sp. 1

Sinanodonta lauta ヌマガイ

Sinanodonta schrenkii 


(3Nov2020追記:Choi et al. (2020)は、上記Nodularia sp. 1がNodularia douglasiaeとは独立した別種だとは言えない、と主張している。)


MUSSEL projectのウェブサイトから以下の種も韓国に分布することになっている。

Anemina euscaphys


和名は以下の論文で整理されている?ようなので、後で確認ってことで。

近藤⾼貴(2020)イシガイ科⾙類の新たな分類体系.ちりぼたん,50︓294-296.


以下の種も韓国に分布している?のかも?これも後で確認しよう。

Anemina parvula(Dipsas parvulus HeudeをAneminaに移動すべきだとの主張があるらしい。MUSSEL projectではDipsas parvulusはCristaria radiataのシノニム扱いにされている。)




2020年7月31日金曜日

韓国のベンガルヤマネコ 31Jul2020

日本にもヤマネコ類 イリオモテヤマネコとツシマヤマネコ はいるが、分布域は限られているし数も減っていておいそれと目にすることはできない。

一方韓国では、やはりすごく減ってしまっているが、調査をしているとたまーにベンガルヤマネコを見かける。
キターっと思って写真に収めようと試みるものの、そこまで優しくはない。


こんなんしか撮れない。

Mammals of Koreaという書籍や以下のウェブサイト
https://www.brh.co.jp/publication/journal/021/ex.html
によると済州島の個体群は絶滅してしまったらしい。でも去年済州島でも見かけた気がするんだけど、見間違いなのだろうか?


Mammals of Koreaの表紙
いい写真っす。

2020年6月29日月曜日

韓国・巨済島(コジェ島)のカタツムリ 29Jun2020

韓国の南東部にある 巨済島(コジェ島) という島に調査に行ってきました。
とても対馬に近いです。

第一目標は コゼオオベソマイマイ Aegista proxima です。この島が模式産地なので押さえておきたかった!


良いカンジの雨の中 石垣を這ってる所に遭遇。

悲しいことに第二・第三目標とは出会えなかったけど、別の予想外の種に会えたのでヨシとします。今年中にもう1回来てみようかなー、と思案中。


2020年5月31日日曜日

韓国・西部の島のカタツムリ 31May2020

韓国は西部、つまり黄海側にたくさん小さな島を持ってます(まあ、南部も同様に島だらけと言えます)。良い森が残っていることが多いので、なるべく調査したいところです。

コロナによる制限が解除されて研究費が使用可能になったみたいなので、ちょろっといくつかの島に行ってきました。狭い範囲でも多くの種類を見つけることができるので、やはり半島側より楽しめます。


 いくつか面白い出会いがありました。このベッコウマイマイ類もその一つ。



今回は植物を研究してる方と同行したので、花の写真も多く撮りました。



韓国のイボイボナメクジ類(ゴマシオナメクジ類) 29Jan2021

韓国で初めてイボイボナメクジ類(ゴマシオナメクジ類)が記録されたよ、という報告文がBiodiversity Journalにて出版されました。 Note on occurrence of the land slug family Rathouisiidae Heude, 1885...